「莉子、出番だ」 「わう♪ わう♪」 俺は莉子を連れて、椅子に座った会員たちのところへと向かう。 莉子をぐるりと円形に囲む椅子のひとつに近づくと、俺は莉子にちいさく耳打ちする。 「………わかったな?」 「わう♪」 「おなかをすかせたあわれなメスイヌにどうかエサをおあたえくださいませ」 「わう?」 「これは、よく躾けられた犬ですね。ちゃんとおねだりできるとは」 「わううぅぅ♪」 「ねーせんせーこれでいい?リコよくできました?」 「ああ、お前はいい犬だ」 「わん♪」 「よしよし」 「わん♪ わん♪」 頭をなでられて、莉子が嬉しそうに目を細める。 葵などとも仲良くしているようだし、クラスでも可愛がられているようだから、こうしたケースには慣れているのだろう。 |
(c) 2007 HOBIBOX / CLOCKUP All rights reserved.