―――― それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
「しなくてもいいんじゃないか」という感じもいたしますが、まずはお名前と役職を教えていただいてよろしいですか?

いけだ■ いけだかなめ。です。主にディレクターという名の食って寝るだけのお仕事をしています。
あ、名前は。まで込みで名前です。モー○ング娘。みたいな。

―――― そういえば「。」を付けてから運気上昇しましたよね!
運の強さもリーダーの条件だと思いますよ。あのバルチック艦隊を倒した東(以下略)。


 

―――― さて、ユーザーさんにとってはディレクターというお仕事は(前回のスクリプター同様に)あまりピンと来ない役回りだと思います。
ディレクターを直訳すれば「監督」なんですけれども、スタッフ集めだけでなく、やはり「こういう物語を作りたいんだ」という感じで企画から作っていくのでしょうか?

いけだ■ えーと、企画に関しては一人で考えることにはやはり限界があるので、まず大枠の骨組み的なモノを作ってみんなで検討します。
で、それをまとめて企画提出→製作開始という流れになるんですが、その上でまたお話の大枠を作って検討して。と、制作を進める上で音頭をとる役割ですね。
オーケストラで言えば指揮者でしょうか。指揮者。かっこいいですよね。フヒヒ。

―――― 指揮者かっこいいですよね。うっかりオナラしたらダイレクトに観客の方にいっちゃって大変な事になりますけど、指揮者かっこいいですよね。
大枠の骨組み的なモノというと、大体どのくらいまで突っ込んだ内容になるのでしょうか?
コメディや凌辱といったジャンルから始まって、キャラ設定やイベントシーンといった所までですか?

いけだ■ 屁の臭いを観客に嗅がせる所までが指揮者です。
ゼロからは検討しようがないので、本当にある程度までは作ってしまいます。
今回はエロゲー業界のお話という事なので、いろいろ実体験や実話を交えてつくろうかなーと思ったのですが、身の危険を感じやめました。
我ながら賢明な判断だったと思います。
キャラクター設定についてはおおよそに「お姉さんタイプ」や「妹タイプ」などなるべく多めにちりばめて、そこからメインヒロインをピックアップしてキャラクター造形をして行く感じですね。

―――― そうすると大まかな物語があって、そこに属性で割り振ったキャラクターを配置してから、キャラごとにエピソードを盛りつけていく感じなんですね。
本作は個性豊かなサブキャラクターも魅力の一つですが、「こういうサブキャラクター欲しいよね」と決まったのはどのキャラでしたか?

いけだ■ 田部くんです(キリッ
…すいません嘘です。『えろげー!』は基本的に社内のお話なので、サブキャラについては製作現場と密接な位置にある職業を選びました。
キャラクター性として、どうしても入れたかったのは雑誌編集の筆坂知子です。ちょっと肉が付いててうっすら腋毛とか誰得。それは俺得です。ヒャッホーイ!

―――― 田部くんは立ち絵のハンドサインがキマリすぎですよ! 彼がどんな大暴れをしてくれるのか今からドキドキしちゃいますね。
「製作現場と密接な位置にある職業」とありましたので読者さん向けの解説をしますが、エロゲーというのは「会社の中で黙々と作ってポンとお店に出す」というようにはいかないんです。
制作が決まってから、流通さんにお見せしたり、雑誌さんに持っていって「こういう魅力を伝えたいんだ」と協力していただいたり、お店さんからいただいた率直な意見を可能な限りフィードバックすることで、やっと良い物に仕上がっていくんですね。なんと言っても、発売日までのワクワク感を楽しんでいただいているお客さんが沢山いらっしゃいますから、様々な人に支えてもらわないと充分に魅力を発揮できないんです。


 

―――― さて、今度は少し突っ込んだ質問になります。制作の最前線で指揮をする立場として様々な苦労があるかと思いますが、特にスタッフのモチベーションやペースが落ち込んできた時の何かこれといった対策はありますか?

いけだ■ むむむ、ケースバイケースとしか言いようがないですね。
というのも、そこはやはり人と人とのやりとりなので、「これをしたら大丈夫!」というマニュアル的なセオリーはありません。
とりあえずマスターアップ近辺にピザでも頼んで食うか!な!美味いぞっ!

―――― 一緒に戦う仲間だからこそなんでしょうけど、いいですね!そのシチュエーション憧れちゃいますね!
それでは逆に、いけだかなめ。さん自身はラジオのMCもあって多忙を極めていると思うのですが、いけださんにとってモチベーション維持の癒しアイテムってあったりしますか?

いけだ■ それはもちろんTE○GA!…ではなく、ウチで飼ってる犬です。
帰ってもふもふします。顔を近づけるとべろべろ舐めてきてかわいいんですよこれが!

―――― 可愛いですもんね。犬は癒されますよね〜。
ちなみに何匹飼っていらっしゃるんですか?

いけだ■ ミニチュアダックス(ブラッククリーム)の♂を一匹。もうすぐ二歳になります。
あ、そうそう、写真あるんだけど見る?この子なんだけどさ(以下長かったので割愛)


 

―――― 話は戻りまして、ANISEといえば大ボリュームの体験版が名物となっていますが、あのボリュームには何か訳があるのでしょうか?

いけだ■ フルプライスタイトル(\8,800)の制作をし、team.ANISE一作目の「凌辱学園長/奴隷倶楽部」を立ち上げるにあたり、当時\2,000前後で販売されている低価格タイトルがどんどん増えている時期だったんです。
安いということは当然作品規模がフルプライスに対して少ないわけです。が、お手軽感は圧倒的に低価格の方にイニシアチブがあります。
フルプライスを買ったのに全然ヌけなかった。というようであれば、リスクは大きいので当たり前といえば当たり前なのですが。
そこで、ユーザー様に満足していただくためにはどうしたらよいか?と考えた結果、でてきた考えは「低価格タイトル4本分のボリュームがあれば損した気持ちにはならないだろう!」という単純な足し算だったのです。

―――― いけださんの持論の「目標は1ヌキ100円」ですね!
低価格帯のゲームも買っているユーザーさんに対して、「ANISEのフルプライスゲームを充分に検討してもらう。だから検討材料になるようあのボリュームになった」という事なんですね。
デフレの時代という事もあって、1万円の重みはどんどん重くなっていますもんねぇ。


 

―――― お客さんの事、スタッフの事、開発自体の事と沢山あって心労が絶えない立場と思いますが、ディレクターという仕事のやりがいはどんなところでしょうか?

いけだ■ 毎日がやりがいです。
ソフト制作とは生き物みたいなもので、日々いろいろと変化します。
その変化に伴って対策を考えて実行してゆき、なるべく円滑に動かせるようにする感覚はディレクターならではではないでしょうか。

最初から最後まで関わるお仕事ですから、ソフトが完成して売り場に並んだ時の感慨深さはひとしおです。
発売日にソフト売り場に足を運んで、パッケージを手に取る人に「買ってー!買ってー!」と念を送ったりもしますよ。フヒヒ。

―――― 深いお言葉をいただきましてありがとうございます。
私も同じく「買ってー!買ってー!」と念を送る事はしばしばです(笑)。何だかんだ言っても大変な思いをして作ったゲームですから、やっぱり沢山の人に手にとってもらいたいです。
では、最後になりますが「えろげー!」を楽しみにしてくれているユーザーさんに一言ください。

いけだ■ 多く語るのも野暮なので、一言だけ。
「えろげー!」で枯れるほどヌきまくってください!



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